ナミダ列車
ナミダ列車
「やこって可愛い名前だね」



恋するのはいつも突然だ。

あたしの名前を褒めてくれた彼にすぐに恋をしたんだ。



そして、友達としての中学時代を過ごして
たどり着いた先。
あたしはキミの彼女として高校の門をくぐっていた。


でも、キミがたまにする遠い目に気づいてたんだ。
キミが誰を思っているのかも気づいていた。



「あこさん元気?」



たまに聞いてくるその質問。
わかってる。
わかってるんだよ、好きだってことぐらい。


あたしを通してお姉ちゃんを見てるってわかってる。
なのにどうして、中学の卒業式から約三年も一緒にいてくれるの?


こんなに一緒にいるのにどうしてあたしを見てくれないの。

いつかはあたしを見てくれるって思ってた。
なのに、キミはいつまでもお姉ちゃんのことしかみてない。

さいしょは誰か他に好きな人がいるって思ってた。
でも、それがお姉ちゃんだったのは誤算だった。


「あこさん…」



偶然聞いた寝言。
あたしの心は悲鳴をあげて崩れ落ちた。


だから決めたの。

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