ナミダ列車
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「あれっ」



電車に揺られていると真田くんがスマホを見てつぶやく。



「?」


「ちょっと電話」



そう言ってデッキに向かう。

真田くんはこのままどうするんだろ。
あたしと一緒にいてくれるふうだけど。



「市村、あっち乗らない?」


「え?あれ乗ったら戻…「いいからいいから」



あたしの話を遮って彼はあたしの腕を掴んだ。

こんなに強引なひとだったっけ。
いや、あたしはこの人の隣にいる瑛太しかみてない。
真田くんのことなんか知らないんだ。



「なんで戻るの?」


「戻ったほうがいいから」


「え?」


「行ったらわかるよ」



意味深な言葉を残してあたしの腕を掴んだまま電車に乗る。



「教えてくれてもいいのに」


「秘密ってのもいいよ」


なんてなんだか楽しそうだから調子が狂う。

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