ナミダ列車
「俺…「なんで幸也といんの」



あたしの腕を掴む力と聞き覚えのある声。



「…なんっ」



大好きな声だもん誰かなんて振り向かなくてもわかる。



「好きな奴って幸也?」


「え?」


「幸也が好きなの?」



眉を下げて辛そうな顔をしてる瑛太。
なんで、こんなに辛そうなの。
あたしのことなんか好きじゃないくせに。



「なんで俺が出てくんだよ」


「好きな奴が出来たって…幸也といるから」


「そうだよ!真田くんが好きだから」



もうこの際どうなってもよかった。
別に本当ではないけど、真田くんはわかってるだろうし。



「そうか。俺じゃあ幸せにできないから。幸せになってな」



ポンっとあたしの頭を優しく撫でる。



「幸也今日はやめとくわ」



瑛太がそう話して改札のほうに戻る。



「瑛太と約束してたんだ」


「あぁ。ってかいいのかよ。俺のことなんて好きじゃねぇだろ」



真田くんがはぁっとため息をつく。

< 6 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop