ナミダ列車
「は?じゃないわよ!あの子ずっと泣いてたうえに旅にでたのよ!」


「た、び?」



泣くって…?
振られたのはたしかに俺のはずだった。
それに旅ってなんだよ、幸也と出かけるんじゃねぇのかよ



「別れたって言ってたけど、瑛太くんが振ったの?」


「いや…「振ったんでしょ?!じゃないとあんなに泣かないもの!理由はなに?やこに悪いところなんてあった!?」



俺の話は大して聞くつもりはないらしい。



「悪いところなんて…」



あるわけないよ。
俺があこさんのことを好きだってたぶんやこは気づいてたんだ。
それなのにそれでも俺といてくれた。
やこは俺といようと頑張ってくれたんだ。



「じゃあなんで?」


「好きだからですよ」



俺は言ってはイケナイと思ってた。
でも、言わずにはいられなかった。



「好きならなんで?」


「やこをじゃないです。あこさんを」


「…え?」



さっきまでの剣幕は消え去っていた。
驚きと戸惑いを隠せない声だった。

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