ナミダ列車
「ごめん、あたしは…」


「わかってますよ。俺、もう吹っ切れてますし」



そう。
とっくに吹っ切れてたんだ。



「じゃあなんで?」


「わかりませんよ。俺が振られたんですよ」



俺は振られたくなんてなかった。



「あこさん、ありがとうございます」


「え?」


「俺、やこのとこ行ってきます」



俺は電話を切るとそのまんま駆け出した。
未来に向かって。


伝えるのが遅くてごめん。
たくさん傷つけてごめん。
もう傷つけないから。
俺と離れないでほしい。



いつの間にか俺のなかで
あこさんじゃなくて、やこという存在が大きくなってた。



「気づくの遅…」



散々傷つけてから気づくなんて。
俺もバカだよな。


なぁ、やこ。
俺のこともう一度好きになってくれないか?

これから俺は、お前にすべてぶつけるから。
俺のほうに向かせる努力をするから。


だから、俺ともう一度だけ向き合ってほしい。

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