Designer Baby
「…。」




「愛ちゃん。

自分の気持ちに整理がつくまで待つよ。

無理矢理、検査室に連れて行ったりしないから大丈夫。

ゆっくり自分の心を整理してから、また俺のこと呼んで。

それまで、ナースステーションにいるから。

またね。」







先生は、私の気持ちを読み取る力があるのかもしれない。





1人の時間がほしい。




じっくり、結果が出たあとのことを考えたかった。





ただの、お節介な人じゃないのかな。






そんなことより…。




私に一体…。





心臓に関係してることには、間違えないってことは素人の私でも分かる。





心臓って…。





私、死んじゃうのかな。







遺書でも書こうかな…。






私は、自分の鞄の中に入っていたルーズリーフとペンをとり、自分の思うままに書こうとしていた。





でも、誰が私の遺書を読むの?






遺書って、誰かに思いを残して行くために書くもので、私には遺書でさえ無縁なものだったのかもしれない。






はぁ…。





私は、重い溜息が漏れた。





本当に私は、役立たずだ。





そんなことを考えていると、先生がドアに立っていた。






私は慌ててそちらを見る。






「何難しい顔してるの。


って、何書こうとしてるんだよ。」







先生は、テーブルの上に置いてあった『遺書』と書いてあるルーズリーフを丸めた。






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