Designer Baby
それもそうだ。




私は、姉のために産まれてきた。




それなのに、私は本当に役立たずだよ。





ごめんね。希(こころ)。





切り替えよう。





ここで、暗い顔して帰ったら菜々に心配かける。






私は、大きく深呼吸をしてから教室に向かった。





それから、菜々にバレることなく長い授業が終わった。







予約した時間まで、まだまだ時間がある。






図書館でも行こうかな…。






「愛ー!帰ろ。」





「菜々ごめん。私この後用事があるんだ。」






「何々?私も付き合おうか。」




「大丈夫、大した用事じゃないから。


それじゃあ、また明日ね。」






「うん!気をつけて帰ってね!」







菜々は、彼氏が出来た今でも私と一緒に帰ってくれる。






「こんなところにいた。」






図書館で、小説を読んでいると後ろから誰かに声をかけられた。







「愛ちゃん、あの後心配したんだよ。」






またこの人か…。






「愛ちゃん、愛ちゃんに渡した封筒の病院は俺が昨日まで務めていた所なんだ。」






「大丈夫です。

心配しなくても、ちゃんと病院に行きます。

先生に、この封筒を渡された後、すぐに予約の電話を入れたんです。

でも、混みあっているみたいなので、私の診察は最後に回されました。

今は、時間があるのでここで暇つぶしをしてたんです。」







「そうか。
それなら、俺が病院に送って行くよ。」






「結構です。」





「愛ちゃん!」





私は、先生の声に振り返ることなく図書館から飛び出した。






とにかく、見つからないところに行こう。






どうしてあの人は、あんなに私に関わろうとするの?






気づけば、苦しくて息が出来なくなっていた。





どうしていいか分からず、恐怖と不安で冷静さを失っていた。






苦しい…。





「愛!」





私は、先生の言葉を最後に意識を手放していた。
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