【短】先輩、笑って



その日の朝。



混雑していた駅のホームで、階段から落ちた女の子を受け止めようとして先輩は頭を打ったらしい。




そしてその女の子が…琴音さん。



それをキッカケに、2人は着々と距離を縮めているというのが今の現実。






「せ、んぱい…っ、おみせんぱい〜…」

「わ、泣くなって!な?みぃ」

「う〜…、ふぇっ、せんぱーい…っ」



止めどなく流れてしまう涙。



先輩は戸惑いながらも私の背中をさすってくれる。





なんで、なんで。


なんで忘れちゃうんですか、先輩。




どうして私の名前、覚えていてくれないんですか。




そんな困った顔しないでくださいよ。


笑ってよ、先輩。




いつもみたいに「みぃ」って呼んで、笑ってくださいよ。





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