【短】先輩、笑って
────ピーッ!
そして鳴った試合開始のホイッスル。
真っ先にボールを取って先陣を切ったのは、先輩だった。
華麗なドリブルさばきでどんどん上がっていく先輩。
先制点を決められるかもしれない。
そう思った矢先。
「危ない…っ!」
先輩に詰め寄った相手校選手の足が、先輩の足に引っかかったのを見た。
僅かに宙を舞い、その選手ともつれるように倒れこむ先輩。
ベンチにいた全員が思わず息を飲む。
「先輩…っ!頑張って!」
が、先輩はすぐに立ち上がった。