【短】先輩、笑って
大好きな、大好きな先輩から呼ばれる名前。
それなのにこんなにも泣きたくなるのは、目の前にいるのが私の知っている先輩じゃないから。
「…先輩」
「ん?何?」
「"みぃ"って…、呼んでください」
「…っ、え?」
突然の私からのお願いに、先輩は驚いた顔を見せた。
…あぁ、また私は先輩を困らせてる。
そうは分かっていても、今のこの気持ちは止められない。
「い、今だけでいいんです…っ。お願い、します…」
泣いてせがむ私に、先輩は優しく頭を撫でた。
「みぃ」
そして、先輩の口から、久しぶりに私の名前が呼ばれたんだ。