【短編】夏恋~君とふたりっきり~
「おー、いい感じ!とれてきた!」
「ほ、本当?」
その時、ドーンと花火が鳴り、周りの人たちが一斉に同じ方向を向いて笑顔になった。
「花火始まっちゃったね…ごめんね、なんかこんなことさせちゃって」
「謝ることじゃねーし」
咲斗くんが私の隣に座った。
ありえないよね…せっかくのお祭りで浴衣のシミをとらせるなんて。
そのせいで花火会場着く前に花火始まってしまったし。
なんか私、かっこ悪いよ、早く帰りたい。
「純子たちともはぐれちゃったね…探そうか?」
沈黙にいたたまれなくなって立ち上がろうとした時、グッと手を掴まれた。
「えっ」
「探さなくていーんじゃない。ふたりっきりにさせとけば」
「あ、そうだね…」
私ってば気が利かない。
てか、手……
手を離してくれない。
な、なんで!?離し忘れ!?