【短編】夏恋~君とふたりっきり~
しかし繋がれた手は離れるどころか、更にギュッと強く握られた。
私の心臓の音がでかすぎて、ドーンドーンとなり続ける花火の音、人々の歓声が小さく聞こえる。
「俺が旭に頼んだんだよね、途中で純子と抜けてって」
「え?」
「わざとはぐれてもらった。……ごめんね?」
言ってることがわからなくて、返事出来ずにいた。
「な、なんで……」
「七海とふたりっきりになりたかったから」
横を見ると、少し照れくさそうに笑う咲斗くんがいた。
こんな表情、初めて見る。
私の心拍数が一気に上がった。