【短編】夏恋~君とふたりっきり~
恋バナ!?
咲斗くんとはいつもクラスの子の話とか部活の事とか面白い先生の話ばかりで、恋愛のことには一切触れたことがなかった。
「彼氏はいないよ…」
「マジ?可愛いのに」
「え!?」
び、びっくりした!
可愛いって言った!?
「それも似合うよね」
私の浴衣を指さす。
「嘘!子供っぽくない?これ小学生の時に買ってもらったやつなんだけど…」
「そーなんだ、俺は好きだけどそういうの。七海に合うよ」
今絶対顔が赤くなってる。
咲斗くんの方向けないよ!
咲斗くんだって背が高いから浴衣似合いそうなんだけどなぁ……
ちょっと見てみたかったな、なんて思ってると前にいた純子が「かき氷買うよー!」と叫んだ。
純子は旭くんに買って貰ってるみたい。
もうさ、ほんとカップルじゃん!
そんな2人を見てると、思わず顔がにやける。
「何にすんの?」
「うーん、いちごミルクかなぁ…」
独り言のように呟くと、咲斗くんが屋台のおじさんに「いちごミルクください」と言っていた。
「えっ」
「奢る」
「そ、そんな!悪いよ!」
「女子に出させるわけにはいかないっしょー」
おじさんからかき氷を受け取ると、私に渡した。
「本当にいいの?」
「もちろん」
「ありがとう…」
このかき氷のカップ、捨てられない!