【短編】夏恋~君とふたりっきり~
「甘いの好きなんだ?」
「うん、いつもかき氷はいちごミルクなんだ」
「へぇ。俺はミルク入れない派なんだけど……1口ちょーだい?」
「え!?」
「食ってみたい」
冗談じゃなさそう。私の使ってるスプーンで食べるんだよね…?
「彼女…さんに怒られない?」
聞きたいけど、聞きたくないような。
「彼女?いねーよ!てか、いたらここにいねーし」
「そ、そーだよね!」
一気に視界が明るくなった気がする。
今彼女いないんだ……よかった!
純子の話では中学時代もモテていて、先輩からも告られたりしていたらしい。
そんな人と今、並んで一緒に歩いている。
「で?かき氷くんねぇーの?」
「あ!そうだ!」
私がすくってあげたかき氷を、咲斗くんは横からパクリと食べた。
なんか、今のカップルっぽい!
咲斗くんはすぐに「甘!」と叫んでいたが、「美味いかも」と微笑む。
この人の笑顔好きだなー。
落ち着くというか。
友達といる時の無邪気な笑顔もいいけど、今みたいに優しく笑うところも好き。
私といる時の咲斗くんは優しく笑う方が多い気がする。