【短編】夏恋~君とふたりっきり~

「甘いの好きなんだ?」

「うん、いつもかき氷はいちごミルクなんだ」

「へぇ。俺はミルク入れない派なんだけど……1口ちょーだい?」


「え!?」


「食ってみたい」


冗談じゃなさそう。私の使ってるスプーンで食べるんだよね…?


「彼女…さんに怒られない?」



聞きたいけど、聞きたくないような。



「彼女?いねーよ!てか、いたらここにいねーし」


「そ、そーだよね!」



一気に視界が明るくなった気がする。


今彼女いないんだ……よかった!


純子の話では中学時代もモテていて、先輩からも告られたりしていたらしい。


そんな人と今、並んで一緒に歩いている。



「で?かき氷くんねぇーの?」


「あ!そうだ!」



私がすくってあげたかき氷を、咲斗くんは横からパクリと食べた。


なんか、今のカップルっぽい!



咲斗くんはすぐに「甘!」と叫んでいたが、「美味いかも」と微笑む。


この人の笑顔好きだなー。


落ち着くというか。


友達といる時の無邪気な笑顔もいいけど、今みたいに優しく笑うところも好き。


私といる時の咲斗くんは優しく笑う方が多い気がする。


< 7 / 13 >

この作品をシェア

pagetop