【短編】夏恋~君とふたりっきり~
ヤバイ、さっき男の子とぶつかってる時にはぐれちゃったんだ!
スマホを見ると純子からLINEが着ていて。
『はぐれたっぽいから先に会場行ってるよー!』
そっか…その方がいいよね、花火も始まりそうだし…
咲斗くん、どこに行ったんだろう。
しばらくして咲斗くんがペットボトルを持って走ってきた。
「自販機の水どこも売り切れで。やっと見つけた」
「水?」
「ハンカチ水で濡らしてたたけば、少しはとれんだろ?」
咲斗くんが私のハンカチを水で濡らしている。
その光景を見て、また鼓動が早くなった。
嘘…私のために買ってきてくれたの…?
しゃがんで浴衣の裾をポンポンと叩いてくれている。
なんか、すごく胸が熱くなって、苦しくなって。
泣きそうになった。
私、やっぱりこの人が好きだ。