女トモダチ
「ごめんなぁ、真子。心配かけて。でもお父さんもお母さんも頑張るから。ちゃんと仕事も見つけて子どもたちには絶対に迷惑をかけないようにする。それだけは約束する」

「えぇ。お母さんもまたバリバリ働くから心配しないで?ねっ?」

両親が空元気なのは分かっていた。

昔からそうだ。何か問題が起こっても両親は必死になりどうにか自分たちだけで解決してきた。

うちは裕福ではないと承知しているけれど、わびしい思いをしたことは一度もない。

母は家にいる間、常にあっちへいったりこっちへ行ったり動き回っている。

父はそんな母に負けじとあたしや弟の面倒を見てくれた。

「その情報誌みせて?あたし……バイトするから。そうすれば少しでも家計の足しになるでしょ?」

生理痛なんていつしか感じなくなっていた。

手を伸ばして催促すると、両親は首を横に振った。

「そんな風に真子に心配をかけるのが嫌で、お父さんもお母さんも言わなかったんだよ。その気持ちを汲んでくれよ」

父の言葉にが胸に痛む。

「そんなことより、もう部屋に入って寝なさい?お腹痛いんでしょう?」

母があたしの手を引き、部屋に行き布団を敷いてくれた。

「ゆっくりおやすみ」

布団をかけポンポンっと頭を撫でられたとき、母の手のひらのぬくもりに何故か涙が出そうになった。

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