女トモダチ
神様は残酷だ。

「わぁ~、雲一つない晴天ってこういうことをいうんだねぇ!」

眩しそうに目を細めるセイラの横顔を見つめる。

「綺麗だね。すごい真っ青!」

今日初めて空を見たみたいな反応をするセイラからそっと視線を外す。

どうしてだろう。空を見たってなんの感想も出てこない。

天気が良ければ空は青いし、悪ければ灰色になる。

いちいちそんなこと気にして生活なんてしていない。

そんなことを考える心の余裕もない。

なんだろう、この差は。どうやったって埋められないセイラとの差に苦しくなる。

「そのパン、駅前のお店の?」

「うん。あそこって朝食用にって7時からやってるから助かるの。すごく美味しいよね?」

当たり前のように言うセイラ。

あそこのパンって小さいのでも1コ300円もするんだよ?

うちは6人家族だし。一人1コだとしても1800円もかかる。

あたしや両親は1コじゃ足りないし。そんな余裕ないし。

それを食べたことがあって当たり前みたいな言い方しないでよ。

親がお金持ちだから……お金の苦労なんてしたことがないくせに。
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