女トモダチ
「美味しかったぁ!ごちそうさまでした」

米粒一つ残さずに完食したセイラはお弁当をパタンっと閉じてあたしに差し出した。

「せっかくお母さんが作ってくれたのに私が食べちゃってごめんね」

申し訳なさそうに謝るセイラの言葉を無視してお弁当箱を受け取る。

なに、その言い方。あたしが交換しようって言ったからこんなことになったんじゃない。

セイラが謝ることないのに。

偽善者面するセイラにわけのわからない憤りが胸の中に渦巻く。

セイラといると……あたし本当に嫌な奴になる。

みんなも……そうだったのかな。

中学の時、セイラを嫌っていた女子たちの顔が次々に思い浮かぶ。

あの子も、その子も、みんなセイラに対しての劣等感や憤りを感じていたの?


「あ、そうだ。あのね……真子に言わなくちゃいけないことがあって」

一度小さく息を吐くと、セイラはほんの少しだけ緊張したような顔つきになった。
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