女トモダチ
映画館は学校帰りの学生でそこそこの盛況ぶりだった。
飲み物とポップコーンを買ってから席に向かう。
横並びに3人で席を取れたものの、ハルト、セイラ、あたしの順番になってしまった。
隣に座りたかったな……と、心の中で一人残念がっているときあたしの隣の席に数人の男子高校生グループが座った。
「お前、怖がってんじゃねぇよ!!」
「うるせぇな!!怖くねぇから」
グループで来て気が大きくなっているのか、ゲラゲラと大声で笑って時折あたしの方にまで体をはみ出してくる。
うるさいしはみだしてくるし、嫌だなぁ……。
そうは思っても口に出して注意することもできないし、と心の中でため息をついた瞬間、
「真子、席替わる」
奥にいたハルトが立ち上がり、あたしの手を引いた。
「え……」
「いいから」
ハルトに促されて席を交換すると、男子高校生たちもそれに気付いたのか大人しくなった。
「真子、大丈夫?」
セイラがこそっと耳元でささやく。
小さくうなずいて答えるだけで精いっぱいだった。
緩んでしまいそうになる口元。
ダメだよ、ハルト。そんな風に優しくしないでよ。
ハルトに優しくされるたびに好きの気持ちが大きくなって自分をおさえられなくなる。
あたしをこれ以上好きにさせないで。
館内の照明が落ちて薄暗くなり、予告が始まる。
映画にまったく集中できない。ドキドキと高鳴る心臓の音がセイラにまで届かないかということばかり心配してしまった。
飲み物とポップコーンを買ってから席に向かう。
横並びに3人で席を取れたものの、ハルト、セイラ、あたしの順番になってしまった。
隣に座りたかったな……と、心の中で一人残念がっているときあたしの隣の席に数人の男子高校生グループが座った。
「お前、怖がってんじゃねぇよ!!」
「うるせぇな!!怖くねぇから」
グループで来て気が大きくなっているのか、ゲラゲラと大声で笑って時折あたしの方にまで体をはみ出してくる。
うるさいしはみだしてくるし、嫌だなぁ……。
そうは思っても口に出して注意することもできないし、と心の中でため息をついた瞬間、
「真子、席替わる」
奥にいたハルトが立ち上がり、あたしの手を引いた。
「え……」
「いいから」
ハルトに促されて席を交換すると、男子高校生たちもそれに気付いたのか大人しくなった。
「真子、大丈夫?」
セイラがこそっと耳元でささやく。
小さくうなずいて答えるだけで精いっぱいだった。
緩んでしまいそうになる口元。
ダメだよ、ハルト。そんな風に優しくしないでよ。
ハルトに優しくされるたびに好きの気持ちが大きくなって自分をおさえられなくなる。
あたしをこれ以上好きにさせないで。
館内の照明が落ちて薄暗くなり、予告が始まる。
映画にまったく集中できない。ドキドキと高鳴る心臓の音がセイラにまで届かないかということばかり心配してしまった。