女トモダチ
自分の娘がこれから受けようと思っている神条コーポレーションの娘であるセイラと親友だと知っているなら、普通はそのコネを最大限まで利用しようって考えない？

セイラの同情を買うために身の上話をしたんじゃないの？

コネを利用しないならどうして新しい仕事が見つからないなんて惨めな話をしたのよ。

いつもそう。だから結局、うちは損ばっかりしている。

これから先もずっと損ばっかりし続ける。

「――もう帰って」

低く押し殺したあたしの声にセイラが小首をかしげる。

「もう帰れって言ってんの。アンタなんてもうあたしの親友じゃない」

左手でセイラの腕を掴み強引に立ち上がらせ、右手でセイラのバッグを掴み上げる。

「真子……？」

セイラは今にも泣きだしそうな表情であたしを見つめる。

やめて。そんな目で見ないで！

「おい、真子!!やめろ！」

「真子、何をしているの!?」

両親の叫び声が背中にぶつかる。

それを無視してセイラを引っ張り、玄関先までやってきた。
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