女トモダチ
「そんなんだから中学時代、彼女に浮気されたんじゃないの……?」

「は……?今、なんて言った?」

ポツリと呟いたその声は最悪なことにハルトの耳に届いてしまったようだ。

ハルトの声が怒りに震えている。

「べ、別に!あたしもう帰るから!!」

ゆっくりとした動きで振り返ったハルトから逃げるように、あたしは床に転がるバッグを掴んで部屋を飛び出した。

「おい!真子、待てよ!!」

ハルトの声を無視して階段を駆け下りる。

どうして。付き合った当初はあんなに幸せだったのに、どうして今は幸せだと言えないんだろう。
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