女トモダチ
家に帰る気になれず、蘭に電話をかける。

とにかく誰かに今日の出来事を愚痴りたかった。

5回目でようやく電話口に出た蘭。

「あっ、もしもし。蘭?あのさぁ――」

「ごめん、真子!今、バイト中だから。あとで連絡するね」

ブチッと切られた電話。スマホを握り締めたまま大きく息を吐く。

まだ18時。バイトもしていないセイラならば確実に連絡がつく。

今までのあたしとのやり取りなんてなかったかのように、笑顔であたしを迎え入れて愚痴だって聞いてくれる。

そんなの都合がいいって分かってるし。

甘い考えの自分を戒めながら駅に向かう。

駅前の本屋で立ち読みでもしてから帰ろう。

あたしはトボトボと一人重たい足取りで歩いた。
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