女トモダチ
しばらく立ち読みをした後、店を出ると駅前は大勢の人で溢れていた。

通り過ぎていくカップルを目で追ってしまう。

なんだか自分が一番不幸なような気がしてくる。

あれからハルトからの連絡はない。

きっと相当怒ってる。ケンカをしたのは今日が初めてだった。

「あれ……?」

そのとき、ふと見覚えのある後姿を見つけた。

長いつやつやとした潤いのあるロングヘア。

制服からスラリと伸びた長く細い脚。

人々の目を奪う美貌。

「セイラ……」

あたしの前方には楽し気に歩くセイラと怜音先輩の姿があった。

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