女トモダチ
もっと。もっとだ。これだけでは足りない。

教室中の空気が重たくなる。

みんな水浸しのセイラに注目する。

女子はきっと気付いている。イジメが始まったと。

クラスの中でもリーダー的存在の蘭がセイラに水をかけたところを目撃したクラスメイト達はセイラを腫れもののように扱うのは目に見えていた。

誰だって自分が一番可愛い。

セイラがターゲットになったと気付いたのに、わざわざ仲良くしようなんて思う子がいるはずがなかった。

そもそもセイラは女子によく思われていない。

みんな自分が持っていないものを全部持っているセイラに多かれ少なかれ劣等感を感じていたはずだ。

もちろん、今までのあたしもそう。

でも、今は違う。

あたしが勝者でセイラが敗者だって分からせてやるの。
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