女トモダチ
その場に立ち尽くしていたセイラが床に落ちた雑巾を拾い上げて、自分の席の周りを拭き始めた。

床に這いつくばって一心不乱に雑巾を動かすセイラ。

もちろん、誰も手伝おうとしない。

ただじっと哀れんだ目をセイラに向けるだけ。

何だろう、この爽快感は。やっぱり蘭を味方につけておいて正解だった。

蘭はあたしが望む以上のことをしてくれる。

「神条、どうした?大丈夫か?」

そのとき、教室に入ってきたハルトがセイラに気付いて駆け寄った。

「なんでそんなに濡れてんだよ。着替えてきた方がいいって。あとは俺が片づけておくから」

ハルトはそう言うと、セイラの肩を抱くように立ち上がらせた。


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