女トモダチ
そのときはじめて自分が泣いていることに気が付いた。

胸の奥の奥の方がチクリと痛い。

「あはは……なんで泣いてんだろ」

笑いながら涙を指で拭う。

よくわからない感情が胸の中に広がる。

「まったくもう。早くハルト君のこと追いかけていって謝っちゃいなよ~?」

「ちゃんと謝れるかな……?」

「真子ならできるって。ついでにセイラとも仲直りしたら?」

「……あたし、保健室行ってくるね」

『セイラとも仲直りしたら』という蘭の言葉に答えることなく、あたしは教室を飛び出した。
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