女トモダチ
「池田さん?」

唇を噛みしめて先生の横をすり抜けて保健室の扉を開ける。

怒り、悲しみ、悔しさ、惨めさ。

様々な感情がひっきりなしに沸き上がり、とてもまともに受け答えできそうになかった。

セイラのあの顔。あの目。あの声。

あんなセイラ見たのは初めてだった。

「おい、真子!!待てってば――!!」

保健室から教室に向かうまでの途中、追いかけてきたハルトはあたしの腕を掴んで制止した。

「離してよ」

ハルトの手のひらを振り払い、必死に冷静さを装って答える。

動揺しているなんて死んでも悟られたくなかった。
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