女トモダチ
「待ってよ、ハルト!!」

今度は逆にあたしがハルトの腕を掴んだ。

「なんでそんなこと言うの?確かにセイラとはちょっと前にケンカしちゃってギクシャクしてた。でも、別にハブったりなんてしてないから」

必死になってハルトにすがりついたものの、ハルトは表情を変えない。

「何言われても俺の気持ちは変わらないから」

「どうして……?」

「じゃあ」

ハルトはあたしの手を解くと、そのまま歩き出す。

「どうして浮気しようとしてたハルトにそんなこと言われなくちゃいけないのよ!!」

大声で叫ぶ。

「自分の方が最低最悪じゃん!!超ムカつくんだけど!!」

その声は背中にぶつかっているはず。でも、ハルトは振り返らない。

「ふざけんな、バカッ……!!」

曲がり角を曲がり、ハルトの背中は見えなくなった。

その場に残されたあたし。叫んだせいで声がかれてしまった。

「なんでこうなるのよ……」

そう呟くと、自然と涙が頬を伝う。
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