女トモダチ
「セイラ……」

あたしの前まで歩み寄るとセイラは黙ったままあたしの顔を覗き込んだ。

「セイラ……アンタ、あたしに……何か言うことないわけ?」

絞りだした声は惨めに震えていた。

「真子に……いうこと?」

「そう。自分が何したか分かってる?まさかセイラがハルトに手を出すなんて思ってなかった。あたしがこの間セイラに怒ったから、その腹いせ?本当、最低だし!!」

唇が震える。

怒りをぶつけたいのに、ありきたりな言葉しか出てこない。

セイラは無表情のままあたしをジッと見つめていた。
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