女トモダチ
「――ただいま!!!」

アパートの階段を駆け上がり、玄関扉を開けると急いで革靴を脱ぎ捨てる。

転がり込むように部屋の扉を開けると、その光景に目を見開いた。

「何……してんの?」

食卓を取り囲む両親と弟たち。その中にセイラの姿があった。

「真子ってば、どこ行ってたのよ~!セイラちゃん、真子が帰ってくるまでって待っててくれたんだから。ほらっ、早く手を洗ってきて。みんなで食べましょう」

母はテキパキと料理を温めたり台所を動き回っている。

「何なのよ、これ……」

恐る恐るセイラに視線を向ける。

セイラってば何を企んでいるの……?

「真子……おかえり……。ごめんね、急に」

警戒しているあたしとは逆に、セイラは申し訳なさそうに謝った。
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