女トモダチ
「やめて!!お願いだからセイラを返して!!」

リカはあたしに近付くと、「いーやーだ」と耳元でささやいてニヤリと笑った。

そして、あたしの髪を再び掴むと、力いっぱい引っ張りバルコニーに向かった。

「痛い……――お願い!!やめて……――!!」

リカのどこにこんな力があるのか分からない。

あたしが暴れてもお構いなしに余裕な表情を浮かべるリカ。

「ナイフ使うのも疲れちゃったから、ここから飛び降りて死んでもらうね。セイラに何か言い残すことある?」

クックと喉を鳴らして笑うリカに向かって叫ぶ。

「セイラ!セイラ!お願いだから目を覚まして――!」

「何度呼んだってムダだから。セイラにアンタの声は届かない」

リカはそう言うと、必死で抵抗するあたしを広いバルコニーに押し出して、首に手を伸ばした。


< 216 / 231 >

この作品をシェア

pagetop