女トモダチ
「今まで本当にありがとう。私、真子に出会えて本当に幸せだった。親友ができて本当に嬉しかった」

「……セイラ?」

涙でグチャグチャの顔で微笑むセイラ。

なんでそんなこと言うの……?今度はセイラをあたしが支えるよ。

あたしやうちの家族を陰で支えてくれていたように、今度はあたしが。

「私、怖いの……自分が自分じゃなくなるのが。もう二度と私は誰かを傷つけたくない」

バルコニーの手すりに両手をかけたセイラ。

今すぐに止めなくてはいけないと分かっているのに、体が動かない。

「ダメ、そんなことしちゃ……」

「私が死ねばもう誰も傷付かない。真子も、他のみんなも」

ふわりとセイラが飛び跳ねた。

左足を腰ほどの高さのバルコニーの手すりにかけて、右足も回す。

手すりに座りながらセイラは振りかえった。

「さようなら、真子。これでもう全部終わらせられる」

それがあたしの聞いたセイラの最期の言葉だった。
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