女トモダチ
「――セイラ!!!」

ようやく体が動いた。

必死になってセイラに手を伸ばしたのに、寸前のところで届かなかった。

バルコニーの上からのぞき込むと、セイラの体が真っ逆さまに落ちていくのが分かった。

真っ黒い巨大な穴に吸い込まれていくようなセイラ。

数秒後、ドスンっという音があたりに響いた。

足の力が抜ける。

バルコニーに座り込み、頭を抱える。

「あぁ、あぁ……どうして……セイラが……いやだぁ……」

ヒューヒューという自分の喉の音が脳内を駆け巡る。

全身が小刻みに震えて、歯がガチガチと震える。

あたしがコロシタ。あたしがセイラを殺した。

あたしがセイラを追い詰めたから。

セイラの心の傷に気付いてあげられなかったから。

あたしのせいだ。全部あたしのせい。
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