女トモダチ
ボタボタっとピンポン玉ほどの雨粒が地面を叩いた。

空は灰色になり、雷の音もする。

「傘持ってないし。マジ、最悪」

ポツリと呟きながらハルト君の家を出て歩き出す。

すると、数歩歩いたところで見覚えのある姿を視界にとらえた。

「……真子?」

真っ黒な髪を下ろし、傘もささずにうつむきながら歩く真子。

「蘭、久しぶりだね」

あたしの前でぴたりと足を止めた真子は生気のない瞳をこちらに向ける。

「真子……久しぶり。意外と元気そうだね……?」

顔が引きつる。このタイミングだとハルト君の家から出てきたところを見られていたに違いない。
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