女トモダチ
「神条さん、あなたは絶対に来てよ?みんな期待してるから」

「でも……」

セイラは困ったように眉間にしわを寄せてあたしと先輩を交互に見つめる。

その視線に傷つく。

違う。そんなつもりなんて1ミリもなかったし、考えてもいなかった。

セイラの付き添いでオーディションを受けて自分が受かるかもなんておこがましいことは。

ただ、自分がついていくことでセイラがミスのオーディションを受けるきっかけになってくれたらうれしいと思っただけ。

ただそれだけのことだったのに。

先輩たちはなおもあたしを見下したように笑っている。

オーディションが明日なんて知らなかった。

それも当然だ。

あたしは声をかけられていない。

可愛くないから。セイラみたいに可愛くないから。

だから、だから、だから。

穴があったら入りたいってこのことかも。

逃げ場もないこの状況で恥ずかしさと情けなさが入り混じって胸が締め付けられて息が苦しくなる。

目頭が熱くなり、涙が出るのを必死で堪えていると、

「――先輩。ミスコンのオーディション、辞退します」

セイラはハッキリとした口調でそう言うと、椅子から立ち上がった。

「なっ!ちょっと待ちなさいよ!!!!」

「真子、行こう」

セイラはあたしの腕を掴んで立たせると、そのままクレープ屋さんを後にした。

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