女トモダチ
「よしっ!」
必死に涙を乾かして気持ちを整える。
最低男のせいで遅刻寸前だ。
下駄箱で上履きに履き替えて大股で廊下を歩いていると、視線の先に見覚えのある二人が飛び込んできた。
それは楽しそうに話しているハルトとセイラの姿だった。
「……っ」
チクリと針で刺されたように痛む胸。
なんだろう、この感情。
心の中の小さな黒いシミが徐々に増えていく。
どうしてセイラと一緒にいるの……?
どうしてそんなに楽しそうにしゃべっているの……?
ハルトに対して抱く感情は嫉妬以外の何物でもない。
自分がこんなにも独占欲が強いなんて思いもしなかった。
ハルトがあたし以外の女の子と楽しそうにしゃべっているのを見るといてもたってもいられない。
何を話しているのか気になって仕方がない。
でもどうしてだろう。その相手がセイラだと……どうしてこんなにも複雑な気持ちになるのかな……?
セイラのせいで、あたしは朝から嫌な思いをしたのに。
それなのに、どうしてセイラはハルトと楽しそうにしゃべってんの?
そんなに幸せそうなの……?
なんか、ズルい。