女トモダチ
「まーーーーこーーーーー!」

彼女はニヤリと口の端を持ち上げると、滑るようにあたしの席にやってきた。

「ちょっと~、朝から恋バナしてんの~?仲間に入れてよ~!」

蘭の声は教室中の全員の耳に届くほどの大きさだった。

キンキンと高いその声に圧倒されているあたしに蘭は続ける。

「てかさぁ~、今日真子ってば隣のクラスの男子に告られてたでしょ~?」

「え?」

「裏庭で~!あたし見たんだから~!で、で、どうすんの?付き合うんですか!?」

蘭はテレビのリポーターのようにあたしの口元にマイクに見立てた拳をつきつける。

「や、やめてよ。そんなんじゃないから」

そもそも彼に告られてもいないし、あたしにセイラの彼氏の有無を聞いてきただけ。

それどころか肩をぶつけられて、暴言まで吐かれたんだから。

「ちょっと~、答えになってないよ~?彼ってバスケ部で次期エースって言われてるし意外と女子ファン多いんだよ~?付き合っちゃえばいいのに?」

アイツが?暴言だけでなく、去り際に自分の肩をぶつけていくようなあんな男にファン?
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