女トモダチ
ギリギリと奥歯をかむ。

やっぱりあの時、無理にでも断るべきだったんだ。

むしろもっと前からハルトが好きだったとセイラに伝えるべきだった。

そうすればセイラはきっとあたしにハルトを譲ってくれたはず。

「あぁ~、もう!!ムカつく!!」

自然と口から零れた言葉。

ムカつく……?あたしは一体、誰にムカついてるの。

鈍感すぎてあたしがハルトを好きだと気付かなかったセイラ?

あたしのことを好きなような態度をとっておきながらセイラと付き合ったハルト?

ハルトが好きなのに意地を張って『嫌い』といったあたし?

モヤモヤとする感情に戸惑い、自分自身にそっと問いかける。

けれど、ハッキリしない。

あたしをこんなにも苛立たせているのは一体誰なの……?

目をつぶりもう一度自分に問いかけると、瞼に浮かんだのはセイラの姿だった。
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