女トモダチ
あたしの気持ちなんてまったく知らないセイラ。

そのとき、ふとある疑惑が頭をもたげた。

もしかして、本当は知ってた……?

セイラはずっと純粋な振りをしていただけで……あたしがハルトを好きなことを知っていたとしたら?

あたし達がうまくいかないように裏で手を回していた?

何らかの方法であたしとハルトが二人っきりで映画に行くことを知って、それを邪魔したの?

今朝、隣のクラスの男子に告られたと蘭に誤解された時だってそう。

『よかったね』とセイラは自分のことのように嬉しそうだった。

極めつけは『真子……清水君が好きだったの……?』というセイラの言葉。


『あたしはハルトなんて好きじゃないから!!むしろ、嫌いだし!!』

あの言葉のせいで、あたしはハルトを『嫌い』と言ってしまった。

そのせいであたし達はあの日を境に口を利かなくなってしまったんだ。
あんなに仲が良かったのに。

いつだってハルトはあたしに笑顔を見せてくれたのに。

あたしだけに。

それなのに、あの笑顔をセイラが独占するの……?

あたしの知らないハルトのことを知っていくの……?

手を繋いで、抱き合って、キスをして。そんなことをするの……?

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