女トモダチ
だから、か。

中学時代、セイラが女子から嫌われていた理由はなんとなくわかっていた。

自分の好きな人や彼氏がセイラに目を奪われて心ひかれていくのが気にくわなかったのだ。

それだけではなく、セイラという存在がいることによって自分がどれだけちっぽけな人間であるかを思い知らされるのが苦痛だったんだろう。

その感情は嫉妬、妬み、ヒガミ……そのすべてを混ぜ合わせたようだったに違いない。

セイラは教室の中でいつもひとりぼっちだった。

悲しく淋しく孤独なはずなのにセイラは取り乱すことはなかった。

いつも自分の席に座り、静かに本を読んでいた。

でも、あたしは一人ぼっちのセイラの気持ちを悟り、その姿に胸が痛んだ。

男好きで陰で男に色目を遣う。隣のクラスの子の彼氏を取った。女子が話しかけると無視する。見下したような目でみてくる。天然ぶってる。靴に画びょうを入れた。キレると攻撃的になって怒鳴りつけてくる。

セイラの悪い噂は絶えずあたしの耳に届いた。

それでもクラス替えで同じクラスになったとき、思い切って声をかけてみた。

驚いたような表情を浮かべた後、すぐに嬉しそうにやわらかい笑みを浮かたセイラを見てあのとき思ったんだ。

この子はみんなが噂をするような悪い子じゃないって。

だから今の今まで一緒にいた。
< 47 / 231 >

この作品をシェア

pagetop