女トモダチ
「ねぇ、セイラ」

「うん?」

「セイラは今、幸せ?」

そう問いかけると、セイラはとびっきりの笑顔を浮かべた。

「もちろん!全部、真子のおかげだよ」

キラキラと眩しいほどの幸せオーラを放つ今日のセイラはひときわ輝いて見えた。

「――いいよねぇ、セイラは」

「え?」

「だってさ、なんか不公平じゃない?お金持ちで可愛くてスタイルもよくて頭もよくて運動もできて彼氏もいて……幸せでさ。あたしとは真逆だよね」

顔が引きつる。それを見られないようにうつむきながら言う。

「そんなことないよ。真子はあたしにないものをたくさん持っているでしょ?」

「例えば?」

「仲の良いたくさんの家族がいるじゃない。それに、可愛い弟が4人もいるでしょ?真子の家ってみんな仲が良くて本当に羨ましい」

「……本気で言ってるの?」

「もちろん本気だよ。うちは家に帰っても両親ともに忙しくて家に誰もいないことも多いし。兄弟もいないからいつも一人だもん」

仲の良い家族がいて可愛い弟が4人もいる?なにそれ。

あたしってそれだけしかないの?家族の数しかセイラに勝てないってこと?

「……ふふっ……あははは!!」

思わず笑ってしまった。

なにその答え。

大家族ゆえに金銭的に大変なうえ、派遣社員でいつ切られてもおかしくない父とパートの母。

毎日の食べ物の心配すらするあたし達家族の何がいいのよ?


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