女トモダチ
「あ~もう!ベランダには危ないからでちゃだめだよ?ちょっと、それ口に入れたらダメ!!あー、もう泣かないでよ~?ママもうすぐ帰ってくるからそれまでねぇねと一緒にいよう?ねっ?」

4人の弟をなだめながら洗濯物を取り込んで畳む。

一つ畳んでいる間に、畳んだ洗濯物の上で怪獣ごっこをされ滅茶苦茶にされる。

奥歯をぐっと噛んで沸々と沸き上がる感情を必死に抑え込んで一心不乱に洗濯物を畳み続ける。

家族7人分の洗濯物。でも、1回目ということはこれで4人分くらいか。

お母さんには悪いけど、2回目の洗濯機を回す気力は残っていない。

「……ん?」

とそのとき、ポケットに入れておいたスマホが震えだした。

見ると、画面には清水ハルトの表示。

洗濯物を放り投げてスマホの画面をかじりつくように見つめる。

【ハルト:真子って明日暇?】

【暇だよ】

【ハルト:映画いかねー?】

【なんの?】

【ハルト:最近CMでやってるホラー映画】

【あたし怖いのダメかも】

【ハルト:マジか。じゃあ無理か】

やばっ!ハルトの返信に慌てる。

誘ってもらってるのに、あたしのバカ!

【暇だしいく!】

【ハルト:おー。じゃあ、明日の放課後なー】

息を吸うのも忘れてしまっていた。

「嘘……。ハルトと……映画?」

言葉にすると急に現実味を帯びてくる。

二人っきりで?それってデート?

「おねー?おねー、あしょぼう~?」

洗濯物の山の中で弟にスカートを引っ張られて遊びを催促されても笑顔でいられる。

「えー、もうしょうがないなぁ~!ちょっとだけだよ~?」

自然を顔がにやけてしまう。

あたしは崩されてしまった洗濯物をぎゅっと強く抱きしめた。







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