女トモダチ
映画館に着きチケットを買って座席に向かう。
「あっ……」
途中、気付いた。
先頭のハルトの後ろを歩いてしまっていた。
このままじゃ、ハルト、あたし、セイラの順番であたしが真ん中の座席に座ることになってしまう。
以前来た時のことを思い出す。
セイラがあたしとハルトの間に入ってしまった。
でもあのとき、セイラはあたしに席を譲ってはくれなかった。
知っていたはずなのに。
あたしとハルトが二人っきりで映画に行く約束をしていたってセイラは知っていたはずなのに。
いくらあたしがハルトを好きではなかったといっても、二人っきりで映画を観に行く約束をしていたのをセイラは知っていた。
それは紛れもない事実。
それなのに――。
「真子?」
その場に立ち止まってしまったあたしの後ろから心配そうな声がする。
唇が震えた。でもそれを必死にこらえてあたしは振り返った。
「――セイラ、先行って。ハルトの隣に座りなよ」
絞りだしたあたしの声は蚊の鳴くように小さな声だった。
「あっ……」
途中、気付いた。
先頭のハルトの後ろを歩いてしまっていた。
このままじゃ、ハルト、あたし、セイラの順番であたしが真ん中の座席に座ることになってしまう。
以前来た時のことを思い出す。
セイラがあたしとハルトの間に入ってしまった。
でもあのとき、セイラはあたしに席を譲ってはくれなかった。
知っていたはずなのに。
あたしとハルトが二人っきりで映画に行く約束をしていたってセイラは知っていたはずなのに。
いくらあたしがハルトを好きではなかったといっても、二人っきりで映画を観に行く約束をしていたのをセイラは知っていた。
それは紛れもない事実。
それなのに――。
「真子?」
その場に立ち止まってしまったあたしの後ろから心配そうな声がする。
唇が震えた。でもそれを必死にこらえてあたしは振り返った。
「――セイラ、先行って。ハルトの隣に座りなよ」
絞りだしたあたしの声は蚊の鳴くように小さな声だった。