女トモダチ
「セイラと……付き合い始めたんだね」

セイラがトイレに向かい、エントランスの椅子にはあたしとハルトの二人っきり。

隣に座るハルトに勇気を振り絞って声をかける。

「……あぁ」

ハルトはうつむいたまま答えた。

「そっか。セイラ、いい子でしょ?可愛いし、優しいし……自慢の彼女だね」

自分の言葉に心をズタズタに切り裂かれているなんてバカみたい。

『おめでとう』

本当はそう祝福してあげないといけないって分かってる。

でも、心が言うことを聞いてくれない。

「付き合うならセイラみたいな子が良いよね。あたしが男だってそう思う――」

「――俺は」

あたしの言葉を遮るようにハルトが強い口調で言った。

「俺は……」

でもすぐに眉間にしわを寄せて何かを堪えているかのようにうつむいた。

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