女トモダチ
『セイラって人の彼氏に色目遣うよね』
中学時代、セイラは同じ理由でクラスメイトの女子から嫌われてハブられていた。
『あの子と友達になるのやめた方がいいよ?』
セイラと親しくなってから色々な子に何度も忠告された。
そのときは何とも思っていなかったけど、彼女たちはこういうことを言いたかったの……?
「ハルト君のこと、取り返すなら今だと思うよ?まだ付き合ってから日も浅いし。セイラが先に抜け駆けしたんだから、真子が奪ったって文句言われる筋合いないでしょ?」
蘭の言葉に心が揺れる。
「ダメだよ、そんなの。それに……セイラがそんなことするなんて信じられない」
「女の友情なんて真子が思ってるよりずっともろいから。男次第で簡単に壊れるし。仲の良かった子に男取られるなんてよくある話じゃん」
「でも……」
「いい加減、自分の気持ちに正直になりなって?それとも、ハルト君のことはもう好きじゃないの?」
「――そんなはずないでしょ!?」
蘭の言葉に声を荒げると、すべてを悟ったように蘭が笑った。
「そんなにムキにならないでよ。あたしは真子の味方だから。応援してるよ」
セイラが知っていたなら話は別。
だって、最初にあたしを裏切ったのはセイラってことだもん。
抜け駆けなんてそんなのズル過ぎる。
あたしは……ハルトが好き。セイラよりも……誰よりも、絶対に。
「蘭、ありがとう。なんか吹っ切れたかも」
ハルトはセイラの彼氏じゃない。あたしの彼氏になるの。
蘭に微笑みかけると、胸の中にスッと涼しい風が吹いた気がした。