女トモダチ
慌てて駆け下りたせいで階段を踏み外してしまったようだ。

「――キャッ!!」

必死に体制を立て直そうとする。

後方につんのめりそうになり、ギュッと目をつぶった瞬間、腕を掴まれて体を引っ張りあげられた。

「――真子!!」

「ハルト……」

「大丈夫か?ケガしてないか?」

ハルトがいなかったら階段から転がり落ちていたかもしれない。

小さくうなずいたものの、急に怖くなって体が小刻みに震える。

「真子、大丈夫!?」

後ろで見ていたセイラが心配そうにあたしの顔を覗き込む。

「……いっ!」

ケガなどしていないと思っていたのに、転びそうになった拍子に足をひねってしまったようだ。

ピリッとした鋭い痛みが足首に走る。

でも、ほんの少しの捻挫だ。

歩けないほどではない。
< 75 / 231 >

この作品をシェア

pagetop