女トモダチ

帰りのHRが始まる前、あたしはセイラの席にいってぼんやりと何かを考えている様子のセイラに声をかけた。

「セイラ」

でも、セイラにあたしの声は届いていない。

「あっ、ごめんね!」

「昨日もあんまり眠れなかったの?」

「うん。ちょっと悪い夢を見ちゃって」

セイラは時々悪い夢を見るらしい。

「そんなことより真子ってば今日はやけに機嫌がよかったね?」

セイラは不思議そうにあたしの顔を覗き込んだ。

「えっ?そうかな~?」

「なんかいいことでもあったの?」

「別に何もないよ!」

赤くなってしまった顔を悟られないようにセイラから視線を外す。

生まれて初めての恋。なんとなく気恥ずかしくてセイラにハルトの話はしていなかった。

でも、そろそろ話そうかな。

親友に隠しておくのも心苦しいし。このデートが終わってからちゃんと話そう。

セイラってばあたしがハルトを好きだって知ったら、どんな反応をするんだろう。

応援……してくれるかな?

って、そんなの気にする必要なんてなかった。

セイラなら応援してくれるにきまってる。

「あっ、そうだ!私ね、真子に渡したいものがあるの」

セイラはハッと何かを思い出したのか、ワクワクした表情を浮かべながらポケットの中から何かを取り出した。

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