女トモダチ
「……ハルト……」

こうなるのは自然の流れだった。

家族のいない家の中で惹かれ合う男女がベッドの上にいたら、することなんて一つしかない。

目があい、どちらともなくキスをしてあたし達はベッドに寝転んだ。

くすぐりっこのようなことをしてじゃれているとき、ふと部屋の中の空気が一変した。

体を寄せ合い、キスをする。ハルトがあたしの首筋に顔を埋めた時にはもうすべてが決まっていた。

経験のないあたしをハルトは自然にリードしてくれる。

ハルトに身を任せて、そっと目をつぶり感じたことのない感覚に酔いしれる。

幸せだった。これ以上にないほどの幸せをハルトはあたしに与え続ける。

ふいにセイラの笑顔をまぶたに浮かんだ。

その顔を思い浮かべると、気持ちが更に高ぶった。

今までセイラに勝てたためしはなかった。

容姿だって家庭環境だって。いつもセイラ対して敗北感を抱いていた。

でも、今は違う。あたしが勝者だ。

もう劣等感なんて感じる必要はない。

「ハルト……あたしのこと……好き?」

「好きだよ。真子が……好きだ……」

嬉しい。きつく閉じた瞼から一筋の涙が流れる。

ハルトの言葉はあたしに最上級の幸せを与えてくれる。

ベッドの上で抱き合いながら、あたしは幸せを噛みしめた。

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