女トモダチ
「――ハルト、今日一緒に帰ろうよ~?」

休み時間になり、鼻歌交じりにハルトの席に向かい声をかける。

「おぉ。うちくる?」

「うーん、最近出かけてないし今日はカラオケでもいかない?」

「今日?来週にしようぜ?」

あたしとハルトが正式に付き合い始めてから1か月が経った。

セイラと別れたあとすぐに付き合い始めたあたしとハルトにクラス中が驚いていた。

もちろん、セイラに同情的な声もあがっていたのも知っているけど、そもそも元々仲の良かったあたしとハルトが付き合うのは当然の流れで時間の経過とともにクラス公認のカップルになった。

「分かった~。じゃあ、あとでね」

来週って言ってたけど、来週になったらまた『来週にしよう』って引き延ばすんでしょ?

なんとなくイラっとして、ハルトに手を振り自分の席に戻る。

最近はほぼ毎日一緒に下校し、そのままハルトの家に行くのが日課になっていた。

アウトドア派だと思っていたハルトが実はインドア派だというのも付き合ってから知った。

家ばっかりっていうのも飽きるし、たまにはどこかへ出かけたい。

ハルトに対してちょっぴり不満が出てきた。

でも他人同士が付き合うんだし、多少の価値観の違いは仕方がないか。

そのとき、廊下でキャーッという悲鳴にも似た声がした。


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