女トモダチ
声の方向に視線を移してハッとする。
「怜音先輩だ……」
あたし達のいる教室の扉から顔を出して誰かを探している様子の先輩。
涼川怜音(すずかわれおん)。
この学校で先輩のことを知らない人なんてきっと一人もいない。
遠目からでも感じる眩しいほどのオーラ。
100人に聞いたら100人がカッコいいと答えるほどのイケメン。
入学式の日には同級生だけでなく上級生が先輩の教室を覗き込んだことで扉が外れ、数人のけが人が出たらしい。
校内が大パニックに陥ったのは後にも先にもその一回だけだったらしい。
でも、そんな先輩が一体……何の用……?
「――神条さん、ちょっといい?」
先輩の視線の先にいたのはセイラだった。